次期社長の甘い求婚
「このファイル、資料室にあったものですよね? だったら私片付けてきますよ」

逃れるように視線をファイルに移し、手に持つと鈴木主任は慌て出した。


「えぇっ! そんなそんなっ! 手伝ってもらった挙句に片付けまでお願いできないよっ」


彼らしい慌てっぷりにほんわかしている間もなく、課長が声を張り上げた。


「鈴木―、物品請求書は終わったのかー?」

「あっ!!」


面白いくらいにハッと顔面蒼白した彼を見れば、一目瞭然。
すっかり頭から抜けていたのだろう。


「鈴木主任、これはしっかり私が戻しておきますので」

「本当にごめんね!」


顔の前で大袈裟に手を合わせ、まるで神様みたいに私を拝むと、そそくさと小走りで自分のデスクへと向かっていった。


あの頼りない背中も好きなんだよねー、なんてしみじみ感じながらファイルを抱えて庶務課を出た。
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