次期社長の甘い求婚
「もっ、もしもし……」


『小野寺様、おはようございます。お目覚めになられたでしょうか?』

「はっ、はい」


丁寧な声色に、電話越しだというのに背筋をピンと伸ばし、改まってしまう。


『朝食とお着替えの方を七時にお持ちしても、よろしいでしょうか?』

「え、朝食に着替えですか?」


意味が分からず聞き返してしまうと、すぐに言葉が返ってきた。


『はい、神様よりそう承っております』


神様って……神さん!?


そこでやっと昨夜の記憶が蘇ってきた。


そうだ私、昨夜は鈴木主任に失恋しちゃって思いっきり飲んで。
酔って泣いて醜態を晒して……。


うぅ、だめだ。


ズキズキと痛む頭を抱え込んでしまう。


その後のことが思い出せない。

神さんに抱き抱えられて……そこから記憶が全くない。

『あの、小野寺様?』
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