次期社長の甘い求婚
「照れなくていいから。あっ、悪いけどこれから打ち合わせがあるから出ないといけないの。また今度時間あるとき詳しく聞かせなさいよね」


「それは分かっているけど、本当に余計なことしないでよね?」


「分かったってば。じゃあね~」


手をひらひらさせ、自分のデスクへと戻っていく亜紀。


本当に分かっているのかな? 不安が残りつつも営業部を後にした。




「小野寺さん、十部ずつコピーとってもらってもいいかな?」

「はい、分かりました」


午後の勤務も滞りなく過ぎて行く。

昨夜飲みに行くために慌てて仕事を終わりにしたのか、鈴木主任は午前中から慌てた様子で仕事に取り掛かっている。

そんな鈴木主任の雑務を請け負い、手伝っているわけだけど……。


完全に失恋したというのに、あまりに普段通りすぎる時間にちょっと戸惑っている。


コピーを取りながら、色々と考えてしまった。


日常なんてこんなものだよね。

失恋しようが、不幸のどん底に落とされようが、日常生活は当たり前のようにやってくる。


大切なのはそうなってしまった時、どう踏ん張るのか、なのかもしれない。
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