次期社長の甘い求婚
あからさまに落胆してしまっていると、亜紀は疑いめいた目で問いかけてきた。


「ちょっと本当になにがあったわけ? 頭がついていかないんですけど。……それともなに?」


そう言うと亜紀は身体を密着させてきて、私にしか聞こえないように耳元でそっと囁いた。


「冴えない眼鏡よりも、恭様のことが好きになっちゃったとか?」

「なっ……! そんなわけないからっ」


すぐに否定するも、亜紀はからかうようにニヤニヤ顔のまま。


「え~、だってそう思っちゃうじゃない? あんなに毛嫌いしていたくせに、オシャレして恭様を訪ねてきたんだもの」


「だからそれはっ……!」


「はいはい、あとで話聞いてあげる。とりあえず恭様は今日は戻らないと思うけど、しっかりとあんたが訪ねてきたことはデスクに残しておいてあげるから」


とんでもないことを言い出した亜紀にギョッとしてしまう。


「そんなことしなくていいからっ! 本当にやめてよね!?」


念を押すように言うも、亜紀には伝わっていない様子。
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