次期社長の甘い求婚
突然現れた我が社の次期社長である神さんに声を掛けられ、鈴木主任は面白いほど慌て出した。


「えっ!! いっ、いいえ、そんなまさか……っ! 小野寺さんはもう帰るところです、はい!!」


最後にまるで小学生のように元気よく返事をした鈴木主任に、神さんは口元を押さえ必死に笑いを堪えている。


「そうですか、じゃあ彼女を連れていっても大丈夫ですか?」


「もちろんです! ごっ、ごめんね小野寺さん、気づかなくて! デートだから今日は特に綺麗だったんだね」


「いいえ、そういうわけではっ……」


決してそんなわけではない!

否定しようとするも、神さんは私が手にしていたバッグを素早くとると、ギュッと手を握りしめた。


「すみません、ではお先に失礼します。遅くまでお疲れ様です」


残っている同僚達に微笑み軽く頭を下げると、神さんは私の手を握ったまま歩き出した。


「え、ちょっと神さん!?」

「早く会社を出よう」

もつれそうになる足で必死についていく。
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