次期社長の甘い求婚
「バカね、今さらそれは通用しないからね! はっきり好きって言われたくせに」


力ない声に、亜紀は溜息交じりに呟いた。


「あんたの神経が計り知れないわ。そこまで恭様に言わせておいて、いまだに結婚しちゃう冴えない眼鏡を想っていることが。……まぁ、でもそれも恭様のもうひと頑張りってところだろうけど」


確信めいた目でニヤリと笑う亜紀から逃げるように、視線を落としてしまう。


一昨日の神さんからの告白――。
それは少なからず、私の中で衝撃的なものだった。


あそこまできっぱり興味ないと言ったのに、それでも私を好きって言ってくれたこと。

そしてなにより、私のことを理解してくれているような言葉。


あの後、神さんは食事に誘うこともなく、家の近くまで送り届けてくれた。

そして帰り際、「デートのことで連絡取りたいから」と押し切られてしまい、連絡先を交換したのだ。


その日の夜、早速電話がかかってきた。

最初は何を話したらいいのか分からなかったけれど、神さんは饒舌で他愛ない話を振ってくれて。

気づいたら会話を楽しんでいる自分がいたのだ。
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