次期社長の甘い求婚
浅はかな自分の言動に、今さら後悔の波に襲われてしまう。


「神さん、あの……色々とすみませんでした」

「え、なに急に」


クスクスと笑い、珈琲を啜る神さん。


神さんは怒っていないのかな? これまで私が言った数々の失礼な発言を。


「だって私、散々神さんに酷いことばかり言ってきたじゃないですか。……そのことに関して、怒っていないのかな、と思いまして」


気になり問いかけると、神さんは首を横に振った。


「怒るわけないだろ? むしろ新鮮だった。色々と気づかされることばかりだったしな」


思い出してか、ますます頬を緩ませる神さんに、顔が熱くなってしまう。


「それに、素の俺はこんな感じだよ。いつも気を張ってた。なんとなく周囲が俺に抱くイメージが伝わってきたからな。そのイメージを壊しちゃいけないって思って。……会社で“恭様”って呼ばれていることも知っているよ」


自分のことを周囲が“恭様”なんて呼んでいる、なんて苦笑いしちゃって当たり前だよね。


「俺なりに関東営業所でも、イメージを崩さずに過ごせていると思っているんだけど」

「それは、はい」
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