次期社長の甘い求婚
座敷に通され、ビールと独断でお好み焼きを二枚と、もんじゃ焼きをひとつ注文すると数分後には焼く前の状態で運ばれてきた。


お願いすればお店の人が目の前の鉄板で焼いてくれるけど、せっかくお店に来たなら自分で焼かないと。

そう言って私は決まって焼く係を買って出ていて、少しだけ自信があった。


油をひき混ぜた具材を鉄板に乗せると、ジュッと生地が焼けるいい音が響いた。


形を整えると、感じる視線。
それはもちろん神さんのもので、なぜか興味深そうにお好み焼きをまじまじと見つめていた。


「もしかして神さん、お好み焼き食べたことないんですか?」


まさか……と頭をよぎり、恐る恐る聞いてみる。


「いや、まさか。さすがに食べたことあるよ。……ただ、こうやって自分達で焼いて食べるって店は初めてで」


コテを手にしたまま、面食らってしまう。


え、お好み焼きって自分で焼いて食べるものじゃないの? もしや高級店とかになると、お店の人が焼いてくれるのだろうか。


あぁ、でもテレビで見た高級焼き肉店は、シェフが目の前で焼いて提供していたな。


「こういう店もいいな。美月が焼いてくれるっていうオプションもつくしな。……なんか新鮮」
< 203 / 406 >

この作品をシェア

pagetop