次期社長の甘い求婚
あんなに認めるのが怖くて、一歩踏み出せずにいたのにな。


気持ちは止められない。
ううん、どんなに頑張ったって止められないんだよ。


「美月にさ、前“王道ヒーロー”って言われただろ? ……だけど残念。本当の俺は王道ヒーローでもなんでもねぇ。……ちょっと陰口言われたからって落ち込む男だよ」


「……っ!」


なにか言いたい。
なのに言葉が出てきてくれない。


「さて、と。明日も仕事だし、さっさと帰るか」


また進むスピードを速める神さん。

彼の後を追いながら、背中を見つめてしまう。


今までの私は、好きな人と幸せになりたい。


それは平凡なものでいいから、和やかな人生を送りたいと思っていた。
そして私だけを愛してくれる人がいいと――。


それなのに今は違う。

“幸せにしてほしい”んじゃない。

私が“幸せにしてあげたい”

神さんに辛い顔をさせたくない。
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