次期社長の甘い求婚
今いる場所は、以前鈴木主任とふたりで呑みに行った店の近くで、立ち止まっていたのは、気持ち悪くて座り込んでしまい、神さんが来てくれた場所――。


おもむろに向かってしまうのはベンチ。


腰を下ろし、車が通りすぎて行くのをボーっと見つめてしまう。


たった一ヵ月近く前のことなのにな。
鈴木主任のことが好きで堪らなくて、それなのに妹としか見られていない現実に打ちのめされて……。


そんなときに現れた神さんに、今は恋しちゃっている。

あれほど恋愛対象外だと決め込んでいた彼に――。


冷静に考えれば考えるほど実感できる。


鈴木主任のことは好きだったけれど、恋愛感情とは違った好きだったんだって。


理想を夢見るあまり、勘違いしちゃっていたんだって。


だって鈴木主任を想うときは、いつも心が温かくなって和まされていたのに、神さんを想う今は、胸が締め付けられるほど苦しい。


会いたいと思えば思うほど、苦しさを増していくから。


「まだ仕事中かな……?」
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