次期社長の甘い求婚
「神さっ……」

「ごめん、俺余裕ないから」


背後から抱きしめられた瞬間囁かれた余裕ない声に、心臓が飛び跳ねてしまう。


「美月、こっち向いて」


余裕ない声で言われるよりも先に、神さんの大きな手で後ろを向かされてしまうと、すぐに唇が塞がれてしまった。


「ンッ……」


思わず声が漏れてしまうほど、深い口づけにクラクラしてしまう。


角度を変えて何度も何度も落とされるキスに、次第に思考回路は断たれていく。


「美月……」


キスの合間に吐息交じりに呼ばれる名前に、胸が苦しいくらい締め付けられていく。


神さんの手が頬から髪、首筋、背中へと移動していくたびに、身体が反応してしまう。

その反応を神さんの手は、楽しんでいるようにも思えた。


神さんと交わすキスに意識が集中している中、急に視界が反転し身体が宙に浮いた。


「キャッ!?」


声を上げ咄嗟に神さんにしがみついてしまう。
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