次期社長の甘い求婚
「っすみません、私っ……」


咄嗟に謝るも、鈴木主任は大きく首を横に振った。


「謝らないで。……小野寺さんに言われても仕方ないことだから。……それに嬉しかったよ。俺を励まそうと好きって言ってくれて」


「鈴木主任……」


嘘、じゃないのにな。
好きって気持ちは本当だったけど……ここで今、なにを言っても信じてくれなさそう。


「小野寺さんの言う通りだよね。あれだけ散々みんなに幸せアピールしていたのに、突然の婚約破棄だもの。……言いたくなっちゃう気持ち分かる」


今にも泣き出してしまいそうな彼の表情に、胸が締めつけられた。


「カッコ悪い話だから、みんなには内緒にしておいてほしいんだけど、俺だって本当は彼女と別れたくなかったよ。……一緒についてきて欲しかった」


「――え、それじゃあ……」


その後の言葉が続かない。

だってそれはつまり……。

ゴクリと生唾を飲み込んでしまう。

すると鈴木主任は予想していた言葉を口にした。


「彼女に嫌だって言われてしまって。……田舎で暮らすなんて嫌だと。それに自営業って安定しない仕事だろ? 彼女にも今の仕事を辞めて実家に入り、仕事も手伝ってもらうようになっちゃうから。……それが彼女はどうしても嫌だって言われちゃったんだ」
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