次期社長の甘い求婚
そう、だったんだ……。


でもそうだよね。
家族と友達がいる場所から、いきなり鈴木主任しか頼る人がいない場所に飛び込んで、慣れない仕事をするんだもの。


好きって気持ちだけでは、突き進めなかったのかもしれない。

それなのに私ってば――……。


「本当にすみません。事情も知らないくせに、生意気に首突っ込んでしまって」


謝るしかない。

ふたりで決めたことと分かっておきながら聞いた挙句、鈴木主任に辛い話をさせてしまう形になってしまったのだから。


顔を見ることが出来ず、ひたすら下を向いてしまっていると、「だから謝らないで」と気遣う声が聞こえてきた。


「ちゃんと説明しなかった俺も悪かったしね」

「そんな……」


ますます後悔の波が押し寄せ、唇を噛みしめてしまう。


そんな私に鈴木主任は無理して笑顔を取り繕った。
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