次期社長の甘い求婚
資料を片づけ、鈴木主任と共に休憩に入った。



それから午後の勤務の半分は引き継ぎにかかってしまった。


必死にメモを取ったけれど、頭になかなか入ってこなかった。

休憩前に聞いた鈴木主任の言葉が、頭から離れることはなかったから。

それは仕事が終わってからもずっとだった。




「私も同僚から聞いた時はびっくりしたよ。まさか冴えない眼鏡が退職するだけじゃなくて、結婚も白紙になったって聞いたから」


「……うん」


この日の夜、本当は神さんが家に来る予定だったけれど、急な接待が入ってしまい明日へと延期になった。

それを知った亜紀に誘われたのだ、「久し振りに飲みに行こう」と。


亜紀に連れられてやって来たのは、よくふたりで訪れてる居酒屋。

騒がしくて賑やかな店内でビールを煽る中、話題は鈴木主任のことだった。


どうやらたった一日で営業所内に話は広まってしまったようで、亜紀の耳にも入っていたようだ。
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