次期社長の甘い求婚
「なんで謝るわけ? 俺が来たくて来たんだから、美月が気にすることないだろ?」

「でも……」


足を止め振り返り見ると、神さんは手にしていたカップをテーブルに置き、立ち上がった。


「飛行機の中で眠れるし。……それに俺、一日くらい寝なくても平気だから」


向かい合い私を見下ろしながら、神さんは安心させるように微笑んだ。


「それと、さ……」


そう言うとなぜか私の腕を取り、ソファーに座るよう促してきた。


「神さん?」


促されるがまま座ると、神さんはかけてあったジャケットを手に戻ってくると、私の隣に腰掛け、様子を窺うように見つめてきた。


「あのさ、美月……その、言いにくいことなんだけど、さ……」


いつになく目を泳がせ動揺を見せる神さんに、緊張感に襲われてしまう。


え、神さん一体どうしたんだろう。

さっきまであんなにリラックスしていたよね? 楽しそうにしていたよね?

もしかしてなにか嫌なこと……?


そんな考えが頭をよぎる中、神さんは言いにくそうに話し出した。


「偶然だったんだけど、さ……悪い、昨夜の話、聞いていたんだ」
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