次期社長の甘い求婚
「え、昨夜の話……ですか?」


意味が分からずオウム返ししてしまう。

けれど神さんは変わらず目を泳がせながら、ポツリポツリと話し出した。


「もう一軒行こうってなって行った居酒屋に、偶然美月と榊原さんが来てさ。……席も近くて嫌でも耳に入ってきちまって」


うっ、嘘でしょ……?
それじゃ昨夜、亜紀と居酒屋で話していた話を全部聞かれてしまったってこと……?


まさかの事実に声が出せず、口をパクパクさせてしまう。


そんな私を横目で見て、神さんは目を伏せた。


「悪かった。……最初から全部聞いちまった」


ガーンという効果音が頭の中で鳴り響くと同時に、焦りを覚える。


だって最初から最後までってことは、鈴木主任の話もってことだよね?


以前好きな人がいたとは伝えてあったけれど、相手が鈴木主任ってことは伏せてあった。


やだ、まさかこんな形で知られちゃうなんて――。


どう、思っただろうか? ……気を悪くさせてしまった?


どうしたらいいのか分からずオロオロしてしまっていると、神さんは困ったように眉をハの字に下げた。
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