次期社長の甘い求婚
考えれば考えるほど、分からなくなりばかり。


いっそのこと考えることをやめて、無知のまま神さんと結婚してしまいたいくらいだ。


でもちゃんと分かっている。
逃げずに考えなくてはいけないって。


鈴木主任だって散々悩んで決断したじゃない。後悔していないって胸を張って言っていた。

私だって後悔したくない。神さんのことを幸せにしたい。

そう思うのに、答えの出ない問題に悩みながら会社に戻っていった。




三日後――。


「はい、今日も特に変わりは……はい、神さんも頑張ってくださいね」


夜の二十三時。
仕事を終えた神さんからかかってきた電話を切ると同時に、深い溜息が漏れてしまう。


神さんのお父さんに呼び出され、お父さんと対面した日から三日が過ぎた。

ふと仕事中も考えてしまう神さんとの未来に、答えなど見出せずにいる。


電話の切れたスマホを手にしたまま、ベッドに横たわり天井のクロスを見つめてしまう。


私はとっくに帰宅していて、夕食やお風呂を済ませている時間に神さんは帰宅したばかり。
それだけ仕事が大変なんだよね。


もちろん神さんの仕事が大変なことは承知している。
それはきっと、これからますます大変になることも――……。
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