次期社長の甘い求婚
「悪い美月! 寝過ごした」


焦った様子で起きてきた神さんの髪は寝癖がついていて、その無防備さに口元が緩んでしまう。


「おはようございます、神さん。朝食準備できてますけど、食べますか?」

「え……あっ、あぁ。じゃあ食べようかな」


寝起きで頭がうまく回らないのか、しどろもどろになる彼にますます口元が緩んでしまった。


「わかりました、今準備しますね。先に顔洗ってきてください」

「はっ、はい」


なぜか敬語の彼に笑ってしまうと、神さんは面白くなさそうに顔を顰めた。


「仕方ないだろ? ……こういうの、慣れていなんだから」


ブツブツと文句を言いながら洗面台に逃げ込む彼の姿を目で追いながら、朝食の準備を進めた。



「いいね、朝食に煮魚とか」

「昨夜から仕込んでおいたので、しっかり染みていると思いますよ」


着替えた神さんと向かい合って座り、手を合わせた。


煮魚にお味噌汁。ひじきの煮物にお漬物。
それを神さんは何度も「美味しい」と言っては完食してくれた。
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