次期社長の甘い求婚
「あのさ、ここは察してくれないかな?」

「え?」


察するってなにを?

ついキョトンとしてしまうと、神さんは苦笑いしながら答えた。


「気になる子の前ではいい格好をしたいっていう、男心」


気になる子の前ではって……え、嘘でしょ?


面食らってしまう私に、神さんは脚立を肩に担いだまま顔を近付けてきた。


「昨日のアレ、キミ的には牽制してつもりかもしれないけど逆だから。……久し振りにグッときた」

「グッ、グッときたって……」


ピクピクと顔を引きつらせながら、少しずつ神さんと距離を取ってしまう。


なにがどうなってグッときたというの? 私、昨日散々なことしか言っていないはずなのに。

昨日のことを思い出しても、全く引っかからない。彼が私にグッときた謎を解く発言が。


すると神さんは体制を戻し、眩しい笑顔で宣言するように言い放った。


「新鮮だったんだ、キミの態度が。興味注がれた。だから本気でいくからよろしく」


よろしくって……え、本当にコレ、なんなの?

昨日の仕返しにからかっているだけじゃないの? ……本気なの?
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