次期社長の甘い求婚
三年前、神さんがそばにいればどんなことも乗り越えられる、幸せになれると信じて疑わなかった。
きっと神さんも同じ気持ちでいてくれたはず。


それなのに私が突然姿を消してしまい、神さんはどう思っただろうか。


家に入り、そのままソファーに深く腰を下ろした。


引っ越しの日、そっとポストに投函した手紙に綴った言葉を、今でも覚えている。
神さんに伝えたい気持ちを綴ったものだから。



神さんへ

突然姿を消すことを許してください。
でも分かってください。
これが私にとっても神さんにとっても、幸せになれるって。

どこにいても神さんのこと、応援しています。
どうか遣り甲斐のある仕事、頑張ってください。

そして幸せになってください。



便箋一枚に綴った短い思い。

それでも彼になら、ちゃんと届いたと信じて疑っていない。


ゆっくり立ち上がり、本棚にある一冊のファイルを取り出す。


そこには神さんのことが掲載されていた記事を切り抜いたものが、綺麗にスクラップされている。
< 339 / 406 >

この作品をシェア

pagetop