次期社長の甘い求婚
「いっそのこと、嫌いになれたらいいのに」


そうしたらどんなに楽か。


神さんには幸せになってもらいたい。
その気持ちは変わらないのに、神さんの隣には私じゃない別の人がいるかと思うと、胸が痛んで仕方ない。


自分から別れを切り出したのに――……。

止まらない涙を何度も拭いながら、写真の中で微笑む神さんを見つめてしまった。




「――あら、美月ちゃんどうしたの? 目が腫れていない?」

「え、そっそうですか!? あっ、昨日遅くまで泣ける映画見ていたからかもしれないです」


次の日の月曜日。

いつものように職場に出社すると、先輩事務員の松田さんが心配そうに声を掛けてくれた。


「あらそうなの。夜更かしはお肌の敵よ~?」

「……肝に銘じます」


どうにか誤魔化せたかな?

陽気な松田さんの姿に、ホッと胸を撫で下ろした。
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