次期社長の甘い求婚
「まったくこの子ったら……。いい歳して盗み聞きなんて」


鈴木主任の顔を見る限り、間違いなくさっきまでの会話を聞かれていたんだよね?

絶句してしまう中、副社長は額に手を当て深い溜息を漏らした。


「さっさと入ってこい。俺達は席を外すから。……男ならしゃんとせい!」


え、ちょっと待って!?


ギョッとするも、ふたりとも立ち上がりすぐに部屋から出て行ってしまった。

あっという間に鈴木主任とふたりっきりにさせられてしまい、シンと静まり返ってしまう。


どっ、どうしよう……。


なにか話さなくてはと思うのに、頭の中が真っ白になってしまう。


東京から戻ってくるまでの間、鈴木主任に伝えることちゃんと考えてきていたのに。


心の準備もできていない間に本人を目の前にしてしまうと、当然言葉が出て来ない。


どれくらいの時間、沈黙が流れただろうか。
それを打破したのは、鈴木主任だった。


「ちゃんと約束、守ってくれたんだね」

“約束”


思い浮かぶのは、あの日の鈴木主任の言葉――。
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