次期社長の甘い求婚
“俺が小野寺さんに気持ちをちゃんと伝えたように、小野寺さんも神さんに気持ちを伝えて欲しい”


言われたときは、絶対無理だって思っていた。

けれどそっか。これでちゃんと鈴木主任との約束を果たせたことになるんだ。


「……はい。でも成り行きというか、周囲の手を借りて、でもありますが」


きっと私ひとりだったら、神さんに気持ちを伝えることなどできなかったと思うから。


苦笑いしてしまうも、鈴木主任は首を左右に振った。


「それでも伝えたんだ。そして幸せになってくれた。……もう俺にも悔いはないよ。神さんと幸せになって」


鈴木主任……。


目を細め願うように放たれた言葉に胸が痛み、泣きたくなった。


なにか言わなくちゃって思うのに、気の利いた言葉が浮かばない。……ううん、この場合最善の言葉なんてないのかもしれない。


何を言っても彼を傷つけてしまうと思うから。

それでもこれだけは、どうしても伝えたい。

意を決し、真っ直ぐ鈴木主任を見据えた。
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