次期社長の甘い求婚
亜紀の見解は私の中では絶対的だった。

その亜紀に真面目な顔して言われちゃったら、どう反応したらいいのか分からなくなる。


徐々に冷めていくパスタを見つめることしか出来ずにいると、「あのさ」と声が落とされた。

顔を上げると、亜紀は探るような目で私を見ている。


「肝心なあんたの気持ちはどうなのよ。社内中で〝恭様〟って騒がれている御曹司に好かれているんだもの。なにかしら気持ちの変化があったからこそ、こうやって私を呼び出して話を聞いて欲しかったんでしょ?」


つくづく亜紀の観察力には脱帽してしまう。


嘘のつけない彼女に、今の自分の正直な気持ちを漏らしていった。


「信じられないじゃない? 御曹司様が一社員でしかない私に興味持ったとか。それに私、けっこう酷いこと言っちゃったし」


「どんなことよ。……まぁ、聞かなくても大体想像つくけど」


脳裏を掠めるのは、つい数日前、資料室で神さんに投げ掛けた言葉。
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