次期社長の甘い求婚
「微塵も興味ないって。トドメにはっきりとこれっぽっちも興味ないから、今後一切声を掛けないで下さいって言った」


あの時言った言葉を伝えると、亜紀の予想を超えていたのか、彼女は目を丸くさせた。


「はぁ? それ本気で言ったわけ? 次期社長であるあの恭様に!?」

「……うん」


まじまじと見つめられ居心地が悪くなってしまい、その視線から逃れるようにランチプレートについているパンを頬張った。

それでも呆れたように私を見つめる亜紀の視線が痛い。


「あ~信じられない! あんたさ、そこはお世辞でもいいから〝光栄ですが〟とか前置きしなさいよ。どうするのよ、恭様が短気で偏屈な人だったら! もしかしたら左遷……いや、解雇されていたかもしれないのよ」


額に手を当て頭を抱え込んでしまった亜紀を、どこか他人事のように見えてしまう。


「まぁ、その時はその時じゃない? もしそうなったら、それはそれで清々するかも。結局それだけの器でしかない時期トップの下で働くなんて癪だし」


ブツブツと文句を言うように呟けば呟くほど、亜紀の口は大きく開くばかり。


「あんたの神経が計り知れないわ。苦労して入った大手企業だって言うのに」

「……別にここにどうしても入りたかったわけじゃないし」
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