次期社長の甘い求婚
そう思うともう一度メモ紙を手に取ってしまう自分がいた。


連絡手段がないし、待ち合わせ場所はなぜか会社じゃなくて最寄り駅だし。
庶務課に勤める私には残業してまでやる仕事なんてないし。


こういうの正直困るけど、仕方ない……よね。


それにはっきりもう一度伝えないと。
申し訳ないけど、あなたには興味ないって。こういうの、正直困るって。


いまだに先輩達の視線を感じながら、午後の勤務の準備に取り掛かった。




「早く着きすぎちゃったかな」


腕時計で時間を確認すると、時刻は十八時過ぎ。


約束の時間は十八時半だったものの、仕事もないのに会社に残っているわけにはいかず、待ち合わせ場所である最寄り駅前の時計台の下に着いたけど、当然神さんの姿は見当たらない。


亜紀もいつも仕事が終わらなくて、約束の時間通りに来たことがないし、もしかしたら神さんも遅れてくるのかもしれない。

それを覚悟し、空いていたベンチに腰掛けた。
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