次期社長の甘い求婚
そりゃ御曹司様だし、女性関係も派手だったことは容易に想像できる。

そんな彼にかかれば、女性を紳士的にエスコートすることなんて、朝飯前なのかもしれない。

女性を待たせないっていうポリシーがあるのかもしれないし。


けれど私は違う。そんなの気にしないのに。


「あのっ……私は別に気にしませんから。待たされたってなんとも思いませんし、仕事をしていれば時間に遅れて来ることだって当たり前なことです。第一神さん、十五分前にちゃんと来てくれたじゃないですか」


いまだに落ち込む彼の様子を見ながら当たり前のことを言ったものの、神さんは酷く驚き私を穴が開くんじゃないかってくらいガン見してきた。

その姿に、今度はこっちが目をパチクリさせてしまう。


え、なに? そんなに驚くこと?
私当たり前なことしか言っていないと思うんだけど……。


そんなことを考えながら神さんの様子を窺っていると、彼は自分に言い聞かせるようにポツリと声を漏らした。


「そうか……待たされても怒らないもの、なのか」


すると希少生物でも見るかのように、私をまじまじと見つめてくる。


「……あの、神さん?」

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