次期社長の甘い求婚
耐えられなくなり呼びかけると、彼はハッとし我に返った。


「悪い、行こうか。店予約してあるんだ」

「あっ、すみません」


そうか、予約か――。

一緒にご飯を食べる相手が神さんだということを忘れていた。

亜紀や友達と行くみたいに、目についた飲食店に入ろうってノリじゃないよね、きっと。
ってことは、もしかして……!


嫌な予感が頭をよぎったものの、先に歩き出した神さんについていくことしか出来なかった。


そして神さんに誘導されるがままやってきた飲食店――。



「神様、お待ちしておりました」

敷居の高さに門構えから既にたじろいてしまった私を、無理やり中に連れ込んだ神さん。

趣のあるドアを開ければ、テレビで見るような日本料亭の玄関先が目に飛び込んできた。


おまけに神さんの姿を見るなり、高級そうな着物を着た女将さんがやって来て、さらに私は身を縮こませてしまった。

女将さんに案内される途中も、廊下から見えた立派な日本庭園に視線を奪われつつ、通されたのは離れにある個室。
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