次期社長の甘い求婚
「好きなもの選んで」と言われながらメニューを渡されたものの、はっきり言って気軽に頼めるメニューじゃない。


どうやらすき焼きの専門店らしいけど、何このメニュー。

コースが三つしかなくて、一番安いコースでも二万円だと?


チラッとメニュー表から神さんの様子を窺うと、ニコニコ笑いながら私を見ていた。


そうだよね、神さんと私の金銭感覚なんて違って当たり前だよね。
きっとこういうところもモテるポイントなんだろうな。


二万円もするコース料理をすぐに奢ってくれちゃうのだから。


いまだにニコニコ顔で私を見る神さんに、「じゃあこれで」とこの生でも一番安い二万円のコース料理を指差す。


すると神さんはすぐに従業員を呼び、なぜか一番高いコース料理を二人前注文した。


「えっ、ちょっと神さん!?」


注文途中ながらもギョッとし、声を上げてしまう。

そんな私には目もくれず、注文をしていく神さん。


「かしこまりました」


丁寧に頭を下げると、従業員はそっと部屋から出ていった。
それを見届けると、神さんはなぜか大きく息を吐いた。
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