レーザービームの王子様
いや、うん。あんな目立つところで、一般人の私の話なんてしないってわかってたけど。

でも、久我 尚人。あの男やっぱり、絶対性格悪いと思う。

……ハッ、ていうか、酔っ払いのおっさんて!! それこそ絶対私のことでしょ??!

他の人たちには気付かれないだろうけど遠いようでほとんど私似たようなもんだし、だとしてもこんな公衆の面前で堂々と言われるとムカつくわ……!!



「あらあらなーんだ、彼女とかじゃないのね」



人知れず怒りに燃える私の右隣りで、なんだかがっかりした様子の松永さん。

え、そこがっかりするところなの? 安心するんじゃなくて??


お上品なおばさまファンの心理はわからない、と首をかしげている間に、気付けばヒーローインタビューは終了していた。

球場マスコットにまとわりつかれつつ、久我 尚人はカメラマンたちに向かってポーズをとっている。きっとこの映像や写真が、明日のニュースや新聞を彩るのだろう。

その様子を眺めながら、思わずため息をついた。


はあ、疲れた。試合観戦自体は楽しかったけど、今さっきのヒーローインタビューでどっと疲れた。

そんで、こっから家に帰るのもまた一苦労なんだよね。東都ドームでのナイターの後は、建物の外から駅、さらには電車も、普段の数倍は込み合うのだ。
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