毒舌王子に誘惑されて
そんな訳で、私達は今日もしつこく大井アナのマンションを張っていた。

葉月君は相も変わらずツナマヨのおにぎりを買い込んでいる。

私は自分のバッグからさっき買った野菜ジュースを取り出して、彼に差し出した。

「なんすか?」

「おにぎりだけじゃ栄養偏るよ。 気休めかも知れないけど、飲まないよりはマシだと思うから」

キョトンとしている葉月君の手に無理やり野菜ジュースを押し付ける。
状況を理解した葉月君がクスクスと笑った。

「美織さんて、おばさん通りこしておばあちゃんみたいですねー」

「うるさいな。 いいから飲みなさいっ」

そう言った私に、葉月君は悪戯っぽい笑みを浮かべる。


「けど、俺おばあちゃん子だったから美織さんみたいなタイプ、割と好きですよ」

「べ、別に、嫌いでいいわよ」

そっけなく言ったつもりだったのに、声が裏返っちゃって全然決まらなかった。
葉月君はくっくっとお腹を抱えて笑っている。

気恥ずかしさから、ふいっと窓の外に視線を外す。

「あっ」

私の声に葉月君も窓の外に視線を移す。

「「大井アナ」」
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