毒舌王子に誘惑されて
鈍い私でもさすがにこの状況は理解できる。カップルのふりをしてれば、大井アナに近づいても怪しまれないってことよね。

「この作戦は佐藤さんとじゃ無理だし、ある意味ラッキーでしたね」

葉月君は全く動揺する気配もなく、自然に足を早めて大井アナに近づく。


「ーーうん。 今、ーーの交差点あたり。
ーー大丈夫。いないと思う」

大井アナの会話が部分的に聞こえてきた。相手が京堂かはわからないけど、私達のようなマスコミが尾行していないかを気にしているようだった。

今のところは気づかれていないみたいで、ほっと一息つく。


不倫の恋かぁ・・。
いけないことなんだろうけど、ここまでして会いたいと思える人がいるっていうのは少し羨ましい気もする。

夜中でも、仕事で疲れてても、それでも彼に会いたいなんて気持ち、私はもうすっかり忘れてしまったからーー。


「なんか仕事とはいえ、他人のささやかな幸せまで邪魔するなんていい気分ではないねぇ・・」

「そうですか?あの人は京堂の奥さんの幸せをぶち壊してるワケだから、そこはあんまし同情する気になんないですけどね」

葉月君は大井アナに冷たい視線を向けてそう言った。
まぁ、そう言われちゃうと反論はできないけど・・。

「第一、そういうこと考え出すとこの仕事はきつくなるだけですよ。
考えたら負けです」
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