毒舌王子に誘惑されて
差し出された手を取ると、葉月君は私の身体を支えるようにして立ち上がらせてくれた。

「足、痛みますか?」

葉月君が私の足首に目を向ける。
暗くてはっきりとは見えないだろうけど、ボロボロの足元に視線を感じて、なんだか落ち着かない。

「ちょっと・・でも大丈夫」

葉月君は視線を落としたまま、言葉を続けた。

「俺はなりふり構わずって感じで仕事に集中してる時の美織さん、かっこいいと思いますけどね」

「え!?」

まさか葉月君の口からそんな言葉が出るなんて思ってなかったから、私は目を見開いてまじまじと葉月君を見る。
葉月君は赤くなった頬を隠すように口元に手を当て、ぶっきらぼうに言った。

「張り切り過ぎてちょっとうざい時はありますけど、ださくはないですよ」

「ふふっ。 何よそれ。 ちっともフォローになってない。大体、なりふり構わずって先輩に向かって失礼すぎでしょ」

下手くそな励ましに思わず吹き出してしまって、私は泣き笑いみたいなおかしな顔になった。

「うん、そうやって怒ってるくらいの方が美織さんらしくていいですよ」

葉月君はほっとしたように穏やかな顔で笑った。
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