毒舌王子に誘惑されて
いやいや、寂しいってなによ??

ついこないだ、恋とは違うかも知れないって思ったばかりなのに。

コロコロと変わる自分の気持ちに私は完全に翻弄されていた。
コントロールを失った感情がどこへ向かうのか、もう自分でもわからない。





「変顔の練習ですか?」

気がつくと、葉月君の整った顔が目の前に迫っていた。

「ぎゃあ!!」

「・・クオリティの高い変顔で面白いですけど、俺としてはもうちょっと色っぽい顔が見たいですね」

艶やかな微笑みを浮かべた葉月君が頬を寄せ、私の耳元で囁いた。
その表情も声色も、私なんかよりずっと色っぽい。


ーーやっぱりダメだ。

いざこんな風に甘い空気なんか出されたら、全然仕事に集中できない。


「もうっ。ふざけてないで、仕事して」

私は両手で葉月君を押しのけた。

「変顔して遊んでたのは美織さんじゃないですか・・」

「変顔なんてしてませんっ」

下らない言い争いをしながらも、私達の視線はしっかりと窓の外に向けられていた。

ここまできて、うっかり見逃す訳にはいかない。
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