毒舌王子に誘惑されて
「美織ちゃん。アポ取り完了したよ。
これ、取材先リストね。一応、回りやすいルートも考えておいたから」
さすがは佐藤さん、ベテランの仕事振りだった。
仕事が早いうえに、渡されたリストは丁寧に地図までついていた。
「ありがとうございます! ほんとに助かりました」
「どういたしまして。俺は今日はこれで帰るけど、どうにもならなくなった時には遠慮なく呼んでくれていいからね」
「そうならないように、頑張ります!」
私は両手でガッツポーズを作って、佐藤さんを見送った。
それから、私は3ページ分の記事レイアウトを2パターン作成した。
あとは取材内容に応じて、どちらがいいか判断して・・・
「美織さん」
呼ばれて振り返ると、葉月君がいつの間にか外出から戻ってきていた。
「おかえり。校正、大丈夫だった?
やってくれそう!?」
葉月君はうちがいつも校正をお願いしている会社に謝罪とスケジュール変更のお願いに行っていたのだ。
無茶なお願いは今回に限ったことじゃないから、大丈夫だと信じたいけど・・
「OKでした。 わりとスケジュールに余裕のある時期だったみたいで」
葉月君の言葉に私は安堵した。
これで、一つ関門クリアだ。
「美織さん。ご迷惑おかけして、本当にすみませんでした」
改めて頭を下げようとする葉月君を、私は慌てて制止した。
「えっと・・謝罪とお礼は無事に入稿できたら、たっぷりしてもらうから。
今は仕事に集中しよ。 ねっ」
それに、と私は続けた。
「私がここで頑張ろうって思えたのって、葉月君のおかげだからさ。少しくらいは返さないとね」
もう立ち上がれないかも知れないって思うほどに辛かった時、私を救ってくれたのは葉月君の言葉だった。
あの言葉のおかげで、私は前に進むことができた。
「・・それでも、まだ俺の方が借りが大きいんですよね」
照れたように顔を背けた葉月君がぼそっと呟いたその言葉は、私の耳には届かなかった。
これ、取材先リストね。一応、回りやすいルートも考えておいたから」
さすがは佐藤さん、ベテランの仕事振りだった。
仕事が早いうえに、渡されたリストは丁寧に地図までついていた。
「ありがとうございます! ほんとに助かりました」
「どういたしまして。俺は今日はこれで帰るけど、どうにもならなくなった時には遠慮なく呼んでくれていいからね」
「そうならないように、頑張ります!」
私は両手でガッツポーズを作って、佐藤さんを見送った。
それから、私は3ページ分の記事レイアウトを2パターン作成した。
あとは取材内容に応じて、どちらがいいか判断して・・・
「美織さん」
呼ばれて振り返ると、葉月君がいつの間にか外出から戻ってきていた。
「おかえり。校正、大丈夫だった?
やってくれそう!?」
葉月君はうちがいつも校正をお願いしている会社に謝罪とスケジュール変更のお願いに行っていたのだ。
無茶なお願いは今回に限ったことじゃないから、大丈夫だと信じたいけど・・
「OKでした。 わりとスケジュールに余裕のある時期だったみたいで」
葉月君の言葉に私は安堵した。
これで、一つ関門クリアだ。
「美織さん。ご迷惑おかけして、本当にすみませんでした」
改めて頭を下げようとする葉月君を、私は慌てて制止した。
「えっと・・謝罪とお礼は無事に入稿できたら、たっぷりしてもらうから。
今は仕事に集中しよ。 ねっ」
それに、と私は続けた。
「私がここで頑張ろうって思えたのって、葉月君のおかげだからさ。少しくらいは返さないとね」
もう立ち上がれないかも知れないって思うほどに辛かった時、私を救ってくれたのは葉月君の言葉だった。
あの言葉のおかげで、私は前に進むことができた。
「・・それでも、まだ俺の方が借りが大きいんですよね」
照れたように顔を背けた葉月君がぼそっと呟いたその言葉は、私の耳には届かなかった。