吸血鬼に甘い鎖を

「…それって本気で言ってるの?」



『ああ。大真面目だ』



…。



いつものクロト君からは
想像できない表情。



今までも隙あらば
そういうことをしようと
していたのに。




…一緒にいたいから、って…。




嬉しいと言えば嬉しいけれど。




なんと言っていいのかわからない。




「…なんで急にそんなことを?」




『別にー?


なんか人って急にそう言いたくなる
ときもあんだろ』



…いや、ないです。



というかクロト君は
人ではないような…。





「…さびしくなったの?」




そう聞きたくなったのは、
さっきからクロト君の表情が
どことなく寂しそうだったから。




だって、一緒にいたいって思うのは、
さびしいと思っているってことだから。





けれど、クロト君は笑うだけだった。




『なんでそう思うんだよ。


咲がいるんだから寂しいはずないだろ?』