吸血鬼に甘い鎖を

再生

城内では静まり返った
王座の間で、レンディアと
クロトが向かい合っていた。




彼等は【印】と呼ばれる
王を継ぐ者の証を
その腕に刻む儀式を行おうと
しているところだった。



この【印】を結んでしまえば、
もうクロトが人間界に
行くことはできない。




「…よし、いくよクロト」



バタンッ!!!!!




「へ、陛下ッ!!」



「何事だ!?

儀式をしているのだから
静かに入れ!」




息を切らした兵士はその場に
へたり込む。




「も、申し訳ありませんっ…!

しかし、急を要する事態でして…!!」



その言葉にレンディアは首をかしげる。





「何事だ?」






「…じ、実はリリーナ様が
猛スピードでこちらに向かってきて
おられまして…!!

そしてその近くには咲殿も…!!!」





『な…!!!』



クロトが反応して
兵士に掴みかかる。





『どこだっ!?

咲は無事なんだろうな!?

増援を頼んだりしてないだろうな!?』




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