恋に目覚めたシンデレラ
《滉さん?》
聞こえて来た葵の声は弾んでいた。
《楽しい時間に水を差してしまったようですね。お邪魔なら切ります》
葵は長谷川沙織と楽しく過ごしている……嫉妬に近い感情を持ってしまいついこんな言葉が出てしまった。
《切らないで!》
《葵さん……》
《掛けてきてくれるなんて思わなかったから……滉さんの声が聞けて嬉しいんです。だから切らないで下さい》
さっきまでの苦い気分は直ぐに消えて今度は口元が緩みそうになった。
《声が聞きたいのなら今からでも家に戻って来ませんか?幾らでも聞かせてあげられます》
《えっ!今からですか……それはちょっと……》
ちょっと意地悪を言ってみたくなっただけなのに困ったように口ごもった。
こういう彼女の反応も可愛い。
今まで見てきた打算的で良く欲深い連中とは正反対だ素直で純粋で……。
《冗談です。今夜はそのまま楽しんできてください。そうだ来週の週末は予定を空けておいてくれませんか?》