恋に目覚めたシンデレラ
唇は不意に離された。
「良かった。本物で……」
「……」
まだ離れないで……もっと触れていてほしい。
「どうしても確かめたかったんです。すみませんでした」
突然キスをされて怒っているとでも思ったのか。
滉さんに謝られてしまった。
葵は別に怒ってなどいない。
今、思っていることを伝える言葉が浮かばなくて……
首を振って「違うんです」と繰り返した。
つい先日、三枝がいるのに車内でキスをされてしまい恥ずかしくて仕方がなかったのに。
それにしても今日は沙織もいた。
それなのにキスをされている間は二人の事なんてすっかり忘れてしまっていた。
私の頭の中は滉さんでいっぱいになってしまったんだ。
もどかしい想いをどうにも出来ない間に目的の場所に着いてしまった。
葵と沙織が降りると
このあと、会社に戻ると思っていた滉も一緒に降りて来てしまった。
「滉さんは……会社には戻らないんですか?」