恋に目覚めたシンデレラ
「男の人の力ってあんなに強いって思わなかった。
本当に怖かったんです。矢嶋くんに急に乱暴に掴まれて離して貰えないし痛いし……どうして……」
「葵さん!」
彼女の様子はどこか変だ。
「やだっ!!触らないでっ」
引き寄せようとしたら1歩後ろに下がり拒絶された。
「落ち着いて矢嶋は、ここにはいない」
「来ないで」
両手を前に出して来るなと意思表示をした手をなんなく掴んで引き寄せた。
「大丈夫です。ただ抱きしめたいだけ」
なおも抗おうとする。
「こっちを向いて下さい。俺は滉だ、あいつじゃない。……こっちを見るんだ。
葵さん、今あなたを抱き締めているのは誰ですか」
彼女は急に大人しくなり顔を上げた。
「滉さん……」