恋に目覚めたシンデレラ
「滉さん……ほんとに寝ちゃった……」
滉さんが寝てしまうとあれだけ大きく聞こえていた心音が気にならなくなってきたというか逆に眠気を誘う音にかわってきた。
それに……ベッドの中は暖かい。
朝まで眠れないだろうなと思っていたけど段々と瞼が重くなってきてこのまま眠れそう。
目が覚めると葵は一瞬どこなのかと焦ったが直ぐに滉の部屋だと思い出した。
ベッドに滉はいない。
部屋のカーテンは閉めてあるけどこの明るさならとっくに朝になってるだろう。
あぁ……小野寺さんが来る前に自分の部屋に戻るつもりだったのにすっかり寝過ごしてしまった。
とりあえず何か着るものを……。
ないっ。
部屋着がない……。
体に巻いていたタオルもない。
着るものがないと困る。
ここから出れない。
部屋の中を良く探したけど、どこにもないし今この部屋は暖房が効いてないから葵の体はすっかり冷えきってしまった。
仕方なく毛布を頭から被って寝室の中をもう一度服を探し歩き回る。毛布は柔らかくてチクチクすることはなかった。
クローゼットの近くにある鏡に映っている自分の格好にぎょっとした。
へんな格好、なんだか妖怪っぽい……。
これだけ探してもないのなら、ここにはもうないだろう。
どこに消えた……。
カチャリとドアノブの回る音がして開いた。