藍色の瞳
部屋に入ってからは時田さんの時と同じ
相手にシャワールームに行くよう促し、鞄を探る
時田さん程ではないけれど、今回の男も相当持っていた
……あぁ、また名前分かんないや
っていうか聞いてもない気がする
携帯に登録している男の名前は“高校生1”とか“中年社長”とかだし
まあいいか、もう二度と会うこともないだろうし
考えることをやめた私は音を立てずに部屋を出た
「……つまらない」
本当につまらない
毎回毎回同じことを繰り返して
こんなことで得た金を使い生きていく意味はあるのだろうかとたまに不安になる
封筒に移し替えたお札の金額を合計すると13万8千円
あんなチャラ男がこんな大金を現金で持ち歩いているなんて誰も思わないだろうな…
部屋の電気は点けてきたから、この前みたいに朝まで外にいる必要もない
ナンパの誘いもフルシカトし、繁華街を抜けようとした時だった
「てめぇっっ‼︎‼︎待ちやがれぇぇぇ‼︎‼︎‼︎」
またまた怒声が耳に入ってきた