初恋泥棒
「あ、そうそう!紗倉、今度の遠足だけどさ」
「遠足?」
「もー。ナカセンがこの間のホームルームで再来週、京都に行くって言ってたじゃん」
ナカセン、とはみんなが付けた中山先生のあだ名だ。
若くてノリが良くて、入学初日にはもうその名前で呼ばれていた。
「それを言うなら社会見学でしょ」
遠足だなんて、なんだか小学生みたいな響きに笑ってしまう。
だけど弥生ちゃんが言うと違和感がないから不思議だ。
「弁当もって出かけるんだから遠足も社会見学も同じじゃん」
言いながら、「もー」と頬を膨らませる弥生ちゃん。
とっても不服そうに、しかめっ面をしている。
「そんな事より、その社会見学のメンバーなんだけど、どうする?」
「どうするって?」
「知らないの?男女混合で6人で班決めしなきゃいけないんだよ。って、今朝あんたいなかったんだった」
弥生ちゃんの話によると、その班決めを今日のロングホームルームで行うらしい。
「で、紗倉は誰が良いと思う?」
「んー、私は別に誰とでも。あ、でも、出来れば弥生ちゃんと一緒が良いかな。なんて、」
「ちっがーう!!あたしが聞いてるのは女メンじゃなくて男メン!!早くしないと良さげな男なんてすぐに取られちゃうんだからね」