初恋泥棒
と、言われて、ぐるりと教室の中を見渡してみるけれど。
...良い男って、どんなの?
「ほら見て、紗倉。あそこ。安藤くんと梶本くん。あたしが思うにあの2人がこのクラスでイケメンだと思うんだけど」
「イケメン...?」
私にはよく分からない分野だなぁと、一人首を傾げていると。
「ああぁ!!!」
「ど、どうしたの?!」
「やられた!!先越された」
大きな声を上げながら、頭を抱える弥生ちゃん。
身を乗り出して見るその先には、可愛らしい女の子が3人、例のイケメンに話しかけていた。
ガクッと机に項垂れる弥生ちゃん。
「まぁまぁ、元気出して弥生ちゃん。ほら、人は見た目じゃないって言うしさ」
「あんなイケメンと幼馴染なクセして説得力ないんだけど」
「えー、ヒロがイケメンとか思った事ないよ。確かに、女の子にはモテるみたいだけど」
「何言ってんの!夏木裕翔をイケメンと呼ばずして誰をイケメンと呼ぶのか。たぶん今年入学した中で一番だと思うよ」
そうなんだ。
裕翔って他の人から見るとそんなに格好良いんだ。
もう十年以上も一緒にいるから、裕翔の外見をそんな風に思った事はなかった。
物心ついた頃から、私は裕翔の事が好きだったから。