夏の嵐と笑わない向日葵


「向日葵?どうかしたか?」


考え込むあたしに、嵐君は心配して声をかけてくれる。

嵐君はすごい。
あたしの小さな変化にさえ、すぐに気づく。


「幸せすぎだな……と」


あたしの前には、丸まって眠るノラがいる。


あたしの大好きな人達が、こうして傍にいてくれる、それがどれだけ幸せなことか……。


2度、失っているからこそ分かる。


「幸せに、すぎるもなにもねーよ。向日葵は、もっと幸せになるんだよ」

「もっと、幸せになんて……今でももう、こんなに幸せなのに…」


それ以上なんて、望めない。
高望みは、幸せが遠ざかってしまう気がしたから。


「嵐君、あたしに会いに来てくれてありがとう」

「向日葵……」

「嵐君と出会えて、本当に良かった」


それは、嵐君が一目惚れをしたその日から、ずっと、あたしを想っていてくれたから繋がった縁だ。






















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