囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
第12話 弟の誘惑
うう…ヒドイよ、

気持ちがぐちゃぐちゃだ。
 
まざまざと見せつけられた住む世界の差、婚約者。
極めつけには、当て付けに奪われたファースト・キス。


御主人サマにちょっと親しげにされて、舞い上がった“シモベ” の勘違い。恥ずかしくって情けない。
アノとき感じたシンパシーは、やっぱり間違いだったんだ。
 

『アイを教える』
だなんてよくもまあ言えたものだ。
笑っちゃう。

あんなヒトと、何もかもが違う別世界の住人と、交わる接点は何もない……

中座したって、もう誰も見咎めることはないだろう。

トボトボとボロ屋に帰りつく。
片方裸足で歩いたから、惨めにも足を怪我してしまった。
 
すると…

おや?

お部屋にポツリと明かりが付いていた。



「やあ、お邪魔してるよ」 
「将馬…サマ?」

コタツに寝転がったまま、翔馬がひらひらと手を振った。

私は慌てて涙を拭った。
全く、兄弟揃ってこの人達は。

「あのねえ、仮にもオトメの部屋に…そういえば、アサダさんがずっと探してましたよ?」

「アハハ…、だからここに隠れてたのさ。ここなら誰にも見つからないから。

それより……どうしたの?ヒドイ有様だけど」
< 107 / 279 >

この作品をシェア

pagetop