囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
第13話 君を抱く
「藤城……課長?」
「あれ?兄さん」

キョトンと彼の方を向く。
彼は荒々しくドアを蹴り、私達に近づいた。

「どけ!」
「わっ!」

上位の彼を突き飛ばす。

「出ていけ」

怖い顔だ。
私は条件反射的にコソコソと、四つ這いになって部屋の隅に逃げ込んだ。

「イテテ…乱暴だな…レディの部屋に無言で入ってくるなんて…」

アナタもじゃないですか。

「コイツに…何かしたのか」

へらへらと笑っている将馬を、真顔でじっと見据えている。馴れ合うつもりはないようだ。

「…これからしようとしたところだったけど。…どうしたんだい?必死じゃないか、珍しく」

物腰こそ柔らかだが、将馬の目もまた笑ってはいなかった。

「コイツは……俺のものだ」

「はあ?」
彼は首を傾げて見せ、それから私を振り返った。

「だってさ、
美咲チャン。
金で縛っといて…ねえ?
君がコイツにどれだけ……」

「きっさま…‼」

将馬の嘲り笑いと挑発に、藤城課長が今にも殴りかかろうとした。
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