囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
第17話 雨に打たれて
時は急速に縮まってゆく___

ちょうど1週間で、私達は帰国した。

帰りの飛行機のなかで彼は色々と教えてくれた。

藤城弥一郎翁は、病状の安定を待ってこちら(日本)の病院に、極秘に移されるそうだ。

「残された時間は、もうあまりないんだ」
窓の外を眺めながら無表情に呟いた。

帰国次第彼は本社の“専務”となり、経営を実務で学ぶ。

そして……

来年の春にはもう、結婚式を執り行い、同時に代表取締役として実質グループの頂点に立つそうだ。
 
「へ、へぇ~、スゴいじゃないですか」
予想はしていた事とはいえ、私は動揺を隠せない。

「なんだ、寂しいか」
フフンと皮肉げに笑う。

「ば、バカな!オニアクマが居なくなって大喜びです。
あーあ、次は優しい上司だといいな~」

「んだとコラ、せっかく助けてやったのに」

「その分イタダかれてますけどね~」
「悦んでるくせに」

「そ、そんなコトはっ……」 
< 156 / 279 >

この作品をシェア

pagetop