囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】
第20話 春風に去る
その同時刻。

結婚式と総帥就任の式典を終えた藤城貴彪は、約束どおり終わってすぐに、彼女のボロ家を訪れた。

「美咲やったぞ、とうとう俺が総師だ!
これでもう、誰にも文句は……
いないのか?……美咲?」

小さく開いた窓から、春風がサアッと部屋に入った。
カーテンがそよぎ、パラパラと紙の擦れる音がする。

「⁉」

ふと見れば、コタツの上にいつぞや贈った指輪の箱が置かれている。


その下に、2枚のまっ白い便箋がサワサワと風に揺れていた。


彼は緩やかにそこまで歩き、その2枚を手に取った___



「………四葉…」
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