囚われのサンドリヨン ~御曹司様のご寵愛~【番外編を追加しました】

「初めての…」

「どうしたんだ、イヤに機嫌がいいじゃないか」

 私とタカトラさんが再会したのは、その2日後の朝だった。
 一昼夜を寝ずに過ごしたという彼は、かなりグッタリとして部屋に戻ってきたのだが、ソファに身を預けるとすぐに私を呼び寄せ、お膝の上に抱き上げた。

「ううん、別に…あ、そうだ!」 

 怪訝そうな顔をした彼のお膝からピョイッと飛び降りると、キッチンに準備していた朝ゴハンのお膳を持ち、テーブルの上に置いた。

「ホー…」

「へへ~、スゴいでしょ?ナイトウさんから、少し食材を分けて貰ったんですヨ」

 お味噌汁にお米のゴハン、ソイソースのかかったお魚の干物。

 そして、夢にまで見た「ナットウ」。

 普段、お屋敷での食事はお抱えコックのアンザイさんが作るから、私は殆《ほとん》ど料理をしない。
 海外のホテル食にもそろそろ飽きてきた頃。

 久しぶりに腕を振るい “どうだ!” と披露したのはいいが…

「うーん……イマイチだな」

 一通りを口にした彼にキッパリと告げられ、ガックリとソファに突っ伏した。

 …そういえば彼、ものすごい美食家《グルメ》だった。
 
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